Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme
周文圭の頸飾、襟のレース、それが拡大されてそこに在る。彼女自身だけは、もうこの世にいないのだ。
彼女の生命を救うことは、俺に出来なかったであろうか。いや、出来た筈だ。ただ危難を予知しさえすればよかったのだ。俺に出来なかったのは、その予知だけだ。
周志淵の生命は救うことが出来た。危難を予知したからだ。
それだけのこと、ただそれだけのことに過ぎない。
然し、動乱の上海にあっては、人は己が身の安全も保証出来なかった代りに、己が力も測り知ることは出来なかった。日本語新聞の一介の記者に過ぎない俺も、自分の力の限界が自分で分らなかった。すべては、入り乱れてる無数の糸のその一端にすぎなかった。ただ俺の糸は少しく強力で、海軍武官府の高級参謀に繋っていた。
それらのことも、今では悪夢のように、この肉体をくすぐる。すっかり洗い落したつもりだが、皮膚のどこかに一筋の糸の切れ端でも残っていやしないかと、ふと気になることがある。
噴火口は何もかも一緒くたに熔解して、ぐらぐら沸き立っている。それが、浅間の火口では眼下に俯瞰されるあの中に飛び込んで身を浄めたらと、妖しい誘惑が伝わる。