Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えんしょ

艶書

山本 周五郎

Lesen Sie 艶書 (えんしょ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.027 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

永田松枝の従妹に当たる永田幾代と、縹緻では群をぬいている三波ふみとはなにもしなかった。二人だけはいつも見ているばかりである。笠井忠也は知らないから、「なにかやれ」と諄くすすめた。

「わたくしたちだめなんですの」永田幾代が赤くなって云った、「二人とも本当の芸なしなんですもの、ねえ三波さま」

三波ふみはにやにやしながらうなずいた。この娘はずばぬけて美しいが、頭の悪いほうでもひけはとらない。忠也がなおしつこくせがむと、やはりにやにやしながら云った。

「あたし手毬なら誰にも負けないんだけれど」

娘たちは笑いだし、忠也がけげんな顔をしたのでさらに笑いくずれた。

それから歌留多になったが、出三郎は二度だけつきあって先に帰った。忠也の座持がいいので、娘たちはすっかり興に乗り、いつ宴が終わるかわからないからである。七重は脇玄関まで送って来て、なにやら気づかわしそうに云った。

「お気を悪くなさいまして」

「いやべつに」と彼は七重を見た、「もうおそいですから、兄にみつかるとね」

「それで安心いたしましたわ」

七重は微笑しながらうなずいた。彼女の頬にえくぼのよれるのを見て、出三郎も微笑しながら別れを告げた。