Japanische Klassiker mit Furigana
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
Lesen Sie 花も刀も (はなもかたなも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.364 Zeichen · 178 Bildschirme
「二人は広いほうで寝てくれ、おれは一人だから四畳半でいい」と、幹太郎は云った。
お豊は幸坊が四畳半で、自分と幹太郎が六畳に寝るのだと云い、幸坊を蒲団屋へ走らせた。お豊はすっかり酔って、幹太郎にからみつき、ところ構わず吸いつこうとしたり、袖や衿から手を入れて、彼の肌に触ろうとしたりした。
「よせ、おれは酔って気持が悪いんだ」
幹太郎はお豊を押しのけた。
「うるさくすると帰るぞ」
「あらいやだ、あたしなんにもしやしないじゃないの、なにをそんなに怒るの」
「おれは気持が悪いんだ」
「だから、介抱してあげるんじゃないの、そんなに邪慳にするもんじゃなくってよ」
お豊はまたからみつこうとし、幹太郎は立ちあがった。お豊は体をふらふらさせながら、充血した眼で彼を見あげた。
「怒ったの、平手さん」
「頼むから構わないでくれ」
「薄情ねえ、いいわよ」
お豊は横坐りになり、片手を畳に突いて、ぐらっと頭を垂れた。
髷の根がゆるんで揺れ、釵がばたっと落ちた。
「苦しいんじゃないのか」と、幹太郎が訊いた、「水をやろうか」
「苦しいわ……でも酔ったから苦しいんじゃない、酒に酔ったくらいで、苦しくなんかなりゃあしないわ、でもあんたにはわからないわね、平手さんには」