Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなよい

花宵

山本 周五郎

Lesen Sie 花宵 (はなよい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.938 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

四

母が走って来てすばやく前へ立ち塞がった。

「英三郎お待ち、おまえ刀を持ちだしてどうするつもりです」

「兄上と、兄上と果合をします」

英三郎の顔は蒼白くひきつッていた。

「お黙りなさい、なんということを云うのです、兄さまと果合をするなどと云っておまえ」

「行かせてください。兄上はいまわたくしの首を掻く真似をしたんです。いくら兄上だってあんまりです、武士の子が自分の首を掻く真似をされて黙ってはいられません、お願いです母上、どうか果合をさせてください」

「なりません、どうしても果合をするというのなら、この母を斬ってからになさい」

「……母上」思いもかけぬ言葉を聞いて、英三郎はびっくりしたように母を見た。本当にびっくりしたような眼つきだった、そしてしばらくはものも云えずに母の顔を見あげていたが、急にわっと泣きながらそこへ坐ってしまった。

「そんなに、そんなに母上は兄上だけが可愛いんですか、英三郎は憎いんですか。英三郎は母上の子ではないのですか」

彼は泣きながら訴えた。

四

「兄上はどんなことをしたって叱られない、どんなときでもお叱りをうけるのはわたくしです、いつでもそうです、英三郎のすることはみんなお気に召さないんですか。