Japanische Klassiker mit Furigana
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はなたばのむし
花束の虫
大阪 圭吉
Lesen Sie 花束の虫 (はなたばのむし) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.893 Zeichen · 36 Bildschirme
つまり海水靴の踵に踏み付けられた様になって、割れてからまだ間もない様な綺麗な顔を、砂の中から半分覗かせていたんだよ。――僕は、考えた。晩迄考えた。そして到頭、その謎を解いて了ったんだ。――新時代の生活者である岸田夫妻の別荘の近くに、こ奴が転っていたのに不思議はないとね。つまり、あの丘の見晴しのいい頂の上で、よしんばそれが直介氏であろうと、比露子夫人であろうと、或は又、その他の誰れであろうと、兎も角岸田家に関係のある誰れかが、手提蓄音器を奏でて娯んだとしても、何の不思議があろうとね。そして、そしてだ。このレコードの缺片や、それから又こ奴の落ちていた時の様子からして、僕は、誰れか彼処で、ダンスを踊っていたんじゃあないかと言う、極めて漠然とした、だが非常に有力な暗示にぶつかったんだ。そこで翌朝、つまり今朝だね。僕はもう一度あの丘を調べに出掛けたんだ。そして其処で僕は、はからずも、あの素晴しい足跡の中に、昨日それを見た時には全く単に荒々しい争いの跡でしかなかったその足跡の、いや靴跡の中に、どうだい、よく見ると、なにかしら或るひとつの、旋律――と言った様なものがあるじゃないか。