Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなび

花火

太宰 治

Lesen Sie 花火 (はなび) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.233 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

僕は本望です、と大きい男がからだを震わせ、熱い涙を流して言い張る有様には、さすがに少年の純粋な一すじの情熱も感じられて、可憐でさえあった。母は当惑するばかりである。いまはもう、いっそ、母のほうで、そのチベットとやらの十万億土へ行ってしまいたい気持である。どのように言ってみても、勝治は初志をひるがえさず、ひるがえすどころか、いよいよ自己の悲壮の決意を固めるばかりである。母は窮した。まっくらな気持で、父に報告した。けれども流石に、チベットとは言い出し兼ねた。満洲へ行きたいそうでございますが、と父に告げた。父は表情を変えずに、少し考えた。答は、実に案外であった。

「行ったらいいだろう。」

そう言ってパレットを持ち直し、

「満洲にも医学校はある。」

これでは問題が、更にややこしくなったばかりで、なんにもならない。母は今更、チベットとは言い直しかねた。そのまま引きさがって、勝治に向い、チベットは諦めて、せめて満洲の医学校、くらいのところで堪忍してくれぬか、といまは必死の説服に努めてみたが、勝治は風馬牛である。ふんと笑って、満洲なら、クラスの相馬君も、それから辰ちゃんだって行くと言ってた、満洲なんて、あんなヘナチョコどもが行くのにちょうどよい所だ、神秘性が無いじゃないか、僕はなんでもチベットへ行くのだ、日本で最初の開拓