Japanische Klassiker mit Furigana
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めばえ
芽生
宮本 百合子
Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme
思いきって破いちまおうかと思わないでもないが、一週間つぶしたと思うと流石未練がのこる。「マアいいさ、なる様にはなるにきまってる」いくじのない理屈をつけてヒョッと目にふれた三重吉の『女と赤い鳥』をとる、夢二の絵の中によく若い娘が壺を抱いて居るのがあったが、あれはこのパンドールの壺なんだキット、こう思って長い間のなぞもとけた様な気がした。「赤い鳥」をよんで居るうちにフッと自分がまだ十七八の時の事が思われた。
「彼の時分は若かった」斯う思うとほんとうに心がゾーッと寒くなる様な気がする。こないだあの人が来た時にそう云って居たのがやっぱりあたってる、と思われる。小さい時からきりょうよしだと云われて居た自分の目の大きい顔の白い、髪のまっくろでしなやかで形よく巻けて居た様子が、博多の帯をころがした時よりも早く悲しげな音をたてて頭の中にくりのべられた。朝起きぬけから日の落ちるまで絵具箱を肩にひっかけていろんなものをうれしくばかり見て暮して居たその時代が、とびつきたいほどなつかしく思われた。「あの時代は私一人の封じた壺をまだあけなかった時だった」小さい声で云ってきかせるようにさとす様にささやいた。