Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゃがゆのき
茶粥の記
矢田 津世子
Lesen Sie 茶粥の記 (ちゃがゆのき) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.568 Zeichen · 30 Bildschirme
だんだん清子は自分の望みが大それた望みだったと諦めるようになり、隣家の主婦の卓上ミシンをかけさせてもらっては、十分満足して帰って来るのだった。
姑の髪はむずかしかった。びんたぼをチョッペリと出して、てっぺんに出来合いの小さなマゲをのせるのだったが、この和洋折衷のハイカラ髪は清子が嫁いで来てからの慣わしだった。
「お月さん、うまく隠れたかえ」
姑は大事そうに髪へ手をやり、清子の懐中鏡を持ち上げて頸を延べたり縮めたりして合せ鏡した。薄い髪にかくれた禿の様子を「雲かくれにし夜半の月かな」だと良人がからかってから、姑も清子もお月さんお月さんで通すようになった。
結い上げて油手を洗いに清子が流し元に下りたところへ、西尾がいつものせっかちな恰好で入ってきた。
「どうも遅くなっちまって……荷物は? ああ、あとは僕がやります、やります」
靴を脱ぐなり、そこいらに散らかった荷物に手をかけはじめたが、姑に引き止められて、お茶にした。
「今日もね、社で鈴木君の話が出ましてね、急性肺炎で命を落すなんて似合わない。もう少し、こう気のきいた病気ですね、胃腸に縁故のある……何んとかこう食通らしい往生の仕方がありそうなもんだってね……」