Japanische Klassiker mit Furigana
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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Lesen Sie 草迷宮 (くさめいきゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.733 Zeichen · 142 Bildschirme
引そいだ切尖の鋭いのが、法衣の袖を掠ったから、背後に立った僧は慌てて身を開いて、行燈は手前が、とこれが先へ立つ。
さあ負され、と蟹の甲を押向けると、いや、それには及ばぬ、と云った仁右衛門が、僧の裾を啣えた体に、膝で摺って縁側へ這上った。
あとへ、竹槍の青光りに艶のあるのを、柄長に取って、明が続く。
背後で雨戸を閉めかけて、おじい、腰が抜けたか、弱い男だ、とどうやら風向が可さそうなので、宰八が嘲けると、うんにゃ足の裏が血だらけじゃ、歩行と痕がつく、と這いながら云ったので――イヤその音の夥しさ。がらりと閉め棄てに、明の背へ飛縋った。――真先へ行燈が、坊さまの裾あたり宙を歩行いて、血だらけだ、と云う苦虫が馬の這身、竹槍が後を圧えて、暗がりを蟹が通る。……広縁をこの体は、さてさて尋常事ではない。
やがて座敷で介抱して、ようよう正気づくと、仁右衛門は四辺をし、あまたたび口籠りながら、相済みましねえ、お客様、御出家、宰八此方にはなおの事、四十年来の知己が、余り気心を知らんようで、面目もない次第じゃ。
御主人鶴谷様のこの別宅、近頃の怪しさ不思議さ。余りの事に、これは一分別ある処と、三日二夜、口も利かずにまじまじと勘考した。