Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くさめいきゅう

草迷宮

泉 鏡花

Lesen Sie 草迷宮 (くさめいきゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.733 Zeichen · 142 Bildschirme

Aozora Bunko

そうなる時には、令室の、恋の染まった霊魂が、五色かがりの手毬となって、霞川に流れもしよう。明さんが、思いの丈を吐く息は、冷たき煙と立のぼって、中空の月も隠れましょう。二人の情の火が重り、白き炎の花となって、襖障子も燃えましょう。日、月でもなし、星でもなし、灯でもない明に、やがて顔を合わせましょう。

邸は世界の暗だのに。……この十畳は暗いのに。……

明さんの迷った目には、煤も香を吐く花かと映り、蜘蛛の巣は名香の薫が靡く、と心時めき、この世の一切を一室に縮めて、そして、海よりもなお広い、金銀珠玉の御殿とも、宮とも見えて、令室を一目見ると、唄の女神と思い祟めて、跪き、伏拝む。

長く冷たき黒髪は、玉の緒を揺る琴の糸の肩に懸って響くよう、互の口へ出ぬ声は、膚に波立つ血汐となって、聞こえぬ耳に調を通わす、幽に触る手と手の指は、五ツと五ツと打合って、水晶の玉の擦れる音、戦く裳と、震える膝は、漂う雲に乗る心地。

ああこれこそ、我が母君……と縋り寄れば、乳房に重く、胸に軽く、手に柔かく腕に撓く、女は我を忘れて、抱く――

我児危い、目盲いたか。罪に落つる谷底の孤家の灯とも辿れよ。