Japanische Klassiker mit Furigana
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はなばなしきしゅんかん
華々しき瞬間
久坂 葉子
Lesen Sie 華々しき瞬間 (はなばなしきしゅんかん) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.114 Zeichen · 92 Bildschirme
そればかりではない。自分の感覚をすりへらしてゆかねばならない。妥協はもっとも嫌悪するところの行動なのだ。南原杉子は、世の多くの女性を不幸だと思い嘲笑もしている。仁科六郎の妻に対してもだ。ああ、蓬莱和子。彼女は、彼女と彼女の夫との状態はどうなんだろう――
南原杉子はふと笑いを洩したのだ。
「阿難、僕は阿難にはっきり云うことがあるのだ」
「なあに」
「蓬莱和子のことだ。僕と彼女は何でもない。一昔たった一度の交渉があったきりなのだ。僕はひどく酔っていた。それまでのこと」
阿難ははっとした。けれど南原杉子は知っていたことなのだ。南原杉子は阿難にうなずかせた。
「云わずに済むことだ。しかし、僕は打明けておきたかったのだ」
仁科六郎は、蓬莱和子と阿難(本当は南原杉子なのだが)との親密さが不気味であり、蓬莱和子がそのことを打ち明けているのじゃないかと戸惑ったのだ。だから、例の、頬をはられた事件までつぶさに語ったのだ。南原杉子は、仁科六郎を頬笑ましい男だと思った。そして、蓬莱和子を少し見降した。阿難はひとみをかがやかせた。
「うれしいわ、何でもかくさずにおっしゃって頂いた方が、阿難の愛は少しも変りません」