Japanische Klassiker mit Furigana
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おちばいき
落ち梅記
山本 周五郎
Lesen Sie 落ち梅記 (おちばいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.748 Zeichen · 61 Bildschirme
こう思って、婚礼のときには彼も母といっしょに席へ列なった――。想像するほどではなかったが半三郎は明らかに変っていた。躯つきも健康そうになり、顔も明るくのびやかになっていた。式の始まるまえ、金之助は彼を廊下の端へつれてゆき、その眼をみつめながら祝辞をのべた。
「これでもう大丈夫だな、よかった」
「いろいろ心配をかけた」半三郎はこう云ってふと眼を伏せた、「――済まないことだらけで、しかし、今はなにも云えない。……これでおちつくだろうと思う、よく来て呉れた」
「お互いにこれからだ、しっかりやってゆこう」
半三郎は眼をあげてこちらを見、こころ弱げに微笑しながら頷いた。――由利江はむろん綿帽子をかぶっていたので、顔が見えなかった。それが金之助には却って仕合せであった。もうあの頃ほどの執着はないけれども、あでやかに化粧したあの特徴のある顔がみえたら、おそらく胸が痛まずにはいなかったに違いない。
――おめでとう、どうか幸福であるように。
式のあいだ金之助はこう祈り、いろなおしのまえに独りで先にその席を立った。
その日から三日めに、彼は国家老の使いをうけて登城した。江戸にいる藩主から墨付が届き、病父の職を継承するために出府せよということであった。