Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

そのお婆さんがとてもいいのだ。年頃はまだ七十にはなるまい。もしかすると六十を幾つも越していないのかも知れない。髪はそれほど白くはない。それでも腰が少し曲がっているし、顔も萎びかけている。年よりも早く老け込んでしまうような生活を送ってきたのだろう。お婆さんの顔を見ると、その声をきくと、お婆さんがやさしい善良な心根の人だということがすぐわかる。その人の生れつきの性質というものは、年をとっても損われずに残っていて、やはりその人をいちばんに伝えるものではないだろうか。殊に単純で素朴な人達の間では。僕にはお婆さんの顔が正直という徳で縁飾りをされているように見える。お婆さんは秤で芋を計ってくれてから、焙じ茶の入った薬鑵を僕のそばに置いて、田舎なまりのある口調で、「勝手に注いであがって下さいよ。」と云う。お婆さんと向い合っていると僕はとても安気で、お茶をなん杯もお代りして呑む。お金を置くと、「どうも有難うございました。」と云う。人柄というものはおかしなもので、こんななんでもない挨拶にも実意が籠っている。ついぞ相客のあった験はないが、結構商いはあるのだろう。お婆さんが僕に世間話をしかけることもない。