Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

翌朝、彼女に附き添われて洗面所へいった。私が顔を洗っている間、彼女は私の袂が水に濡れないように両掌でつかんでいた。私の脇にも客が一人いて、やはりその相方がなにかと気を配っていた。彼女たちには互いにいっそう客を大事にする風情が見られた。おそらく朝の廓の随処に見られる風景であろう。

帰るとき、下駄を履きかけている私の袂を彼女は控えて、

「また来てね。」

と囁いた。

私は彼女のもとへ通うようになった。彼女のいるK楼は、彼女の話によれば、この廓では三流のみせであるという。古いみせなので、やはりどことなくそれだけの格式と情味が感じられて、私などには遊びやすかった。保守的なもののよさとでも云うか、金をむさぼらないわりには客あしらいがよかった。働いている女の風俗もまたその呼び名もみんな古風であった。彼女の呼び名は「通夜物語」の女主人公のように下に山の字がついた。

私がいくと彼女は、私ではないかと思ったと云ったり、またあらかじめ私だということがわかったと云ったりした。どうしてわかったと云ったら、履物を置く場所に朴歯の下駄があったからと云った。朴歯など履いてくる客は私のほかには誰もいなかったのであろう。