Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

ファウスト劇の中にメフィストフェレスがファウスト博士に化けて訪問の学生をあしらう一齣があるが、私はあれを思いついたのである。いわば太宰宗の信奉者たる善男善女に対して、祖師に代って法を説いてやろうという気になったのである。私も相当な馬鹿者である証拠には、そう思い立つとその不穏計画にわれから有頂天になり、ほのかに生甲斐をさえ感じてきた。しかし翻って考えてみるに、人を見て法を説けという言葉もあり、この計画は雑誌社の人に対してはまず適用されないと思った。私もそこまでは悪戯者ではない。人の営業妨害などはしたくない。次に大学生であるが、この天下の最高学府に学んで新しき世代の頭脳を以て任ずる諸秀才を向うに廻し、これを思うさま飜弄してやるということは、単に空想するだけでも愉快なのだが、私にはどうも生得大学生というものがひどく苦が手なのだ。こういうことを白状するのは、私の世渡りを難儀にする危険があるかも知れぬが、私はあの落第生という代物であって中学校さえ満足に卒業していない。そんな私には大学生に対しては、どうしても畏怖の感情を拭いきれないのである。私にはいまもなお、お巡りさんが自分より年上に見えると等しく、大学生がみんな怖い兄貴のような気がしてならない。