Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

その日、私の一家はみんなばらばらになった。私と花やという女中が上野の山に逃げ、母と兄は向島に逃げ、祖母と父は吉原の池の際に居残って命拾いをした。最初に逸速く自分から花やを促して逃げ、親兄弟を置去りにしたのは私であった。花やは天理教の信者で、神仏を尊崇する念が厚く、自分の衣類などはそのままにして、神棚や仏壇のものを大風呂敷にして背中にしょいこんで逃げた。

上野の山には、避難民がいっぱい群らがっていた。私達はその晩そこに野宿した。花やは隣り近所の人と話しながら、私をかえりみて、「この子のお父さんがおめくらさんでね。」と云ったりした。私の父は盲目であった。

あくる日、田端の方にある、花やの親戚の家に行った。震災の様子を偵察にでも行ったらしい若者が帰ってきたが、持っていた竹の皮包の握飯を、一寸匂いを嗅いでみて、「大丈夫だ。」と云うと、それを私に食べさせた。家の者はどうしたろうと思って、流石に私が心細そうな顔をすると、花やは、若しも私の父や母が死んだとしても、学校は行かせてあげると云って、私を慰めた。そんなことを云われると、よけい私は心細くなってきて、泣顔になった。