Japanische Klassiker mit Furigana
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らくご・きょうそれつでん
落語・教祖列伝
Lesen Sie 落語・教祖列伝 (らくご・きょうそれつでん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.245 Zeichen · 25 Bildschirme
「千両箱は重うござんすよ」
などと云いながら、お尻の十手を手にとって、チョイ、チョイ、チョイと三人の腕や背や胸をつくと、三名の豪の者が麻薬のお灸にかけられたように痺れてしまった。
素人が見たのでは、人間の身体は脆いようでも丈夫なもの。刀で斬れば血がでるが、拳でなぐったってコブはできても、それだけのことだ。ところがあらゆる人間には弁慶の泣きどころという急所が全身に五百六十五もあるのだ。名人がそこの一ツをチョイとやると、天下の豪傑でも麻薬のお灸にかけられて痺れてしまうのである。
凄かったのは、上野のお花見の時。ウーム、見事なものだなア、と鼻介が桜の下を歩いていると、行手に当って花見の人々がワッと逃げてくる。何事ならんと駈けつけると、十一名の悪侍が、美しい娘を二人つれたオジイサン侍にインネンをつけ、果し合いになったのである。悪侍の親玉は手の立つ奴と見えて、片手はフトコロ手をしたまま、片手の刀でジイサンをあしらッている。ジイサンはジタリジタリ脂汗をしたたらせて顔面蒼白息をきらして後退する。他の十名は笑いながらジイサンがナブリ殺しにされるのを見物しているところであった。