Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかすなご

葛飾砂子

泉 鏡花

Lesen Sie 葛飾砂子 (かつしかすなご) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.677 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

「あはは、あんな顔をして罪のない、まだ夢じゃと思うそうだ。」

菊枝は、硫黄ヶ島の若布のごとき襤褸蒲団にくるまって、抜綿の丸げたのを枕にしている、これさえじかづけであるのに、親仁が水でも吐したせいか、船へ上げられた時よりは髪がひっ潰れて、今もびっしょりで哀である、昨夜はこの雫の垂るる下で、死際の蟋蟀が鳴いていた。

七兵衛はなおしおらしい目から笑を溢して、

「やれやれ綺麗な姉さんが台なしになったぞ。あてこともねえ、どうじゃ、切ないかい、どこぞ痛みはせぬか、お肚は苦しゅうないか。」と自分の胸を頑固な握拳でこツこツと叩いて見せる。

ト可愛らしく、口を結んだまま、ようようこの時頭を振った。

「は、は、痛かあない、宜いな、嬉しいな、可し、可し、そりゃこうじゃて。お前、飛込んだ拍子に突然目でも廻したか、いや、水も少しばかり、丼に一杯吐いたか吐かぬじゃ。大したことはねえての、気さえ確になれば整然と治る。それからの、ここは大事ない処じゃ、婆も猫も犬も居らぬ、私一人じゃから安心をさっしゃい。またどんな仔細がないとも限らぬが、少しも気遣はない、無理に助けられたと思うと気が揉めるわ、自然天然と活返ったとこうするだ。