Japanische Klassiker mit Furigana
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あし
葦
山本 周五郎
Lesen Sie 葦 (あし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.406 Zeichen · 25 Bildschirme
それから穿き物のまま片足を水の中へ入れた、そしてもう片方の足を。右手で裾を掴んだ、僅かに白い脛があらわれた、ふた足、み足。水は脛についた。女の顔がひきつり、それが誇りがましい、そしてひじょうに美しい微笑になった。霧が巻いてきて、女の半身を包み、渦を描いた。岸から十五尺、水はやがてその腰を浸した。霧はいよいよ濃く、かつ厚みを増した。女の姿は幻のように薄くなり、やがてまったくかき消された。……みぎわの葦が淀みの端のほうから揺れだした、風が出たのである。霧のながれは速くなり、巻きあがったり千切れたりした。ほんの一瞬間、女の姿が見えた。半身を水に浸し、こちらへ背を向けて、なおしずかに川心のほうへ入ってゆくのが、……しかし霧はたちまちその乳色の条で女を押包んだ、もはやなにものも見えなかった。
葦はしきりに揺れそよいだ、互いになにごとか囁き交わすかのように、葉と葉を触れあわせてさやさやと鳴った。川上へ去った鶺鴒が、その波を描くようなせかせかした飛びかたで戻って来、葦の間へ隠れたとみると、まるで思いもつかぬ処から舞い立ち、するどく鳴きながら川中のほうへ消えていった。