Japanische Klassiker mit Furigana
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ふとん
蒲団
田山 花袋
Lesen Sie 蒲団 (ふとん) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.870 Zeichen · 90 Bildschirme
なるたけ時雄の顔に逢うのを避けている様子であった。芳子の煩悶はその秘密を知られたというよりも、それを隠しておいた非を悟った煩悶であったらしい。午後にちょっと出て来たいと言ったが、社へも行かずに家に居た時雄はそれを許さなかった。一日はかくて過ぎた。田中から何等の返事もなかった。
芳子は午飯も夕飯も食べたくないとて食わない。陰鬱な気が一家に充ちた。細君は夫の機嫌の悪いのと、芳子の煩悶しているのに胸を痛めて、どうしたことかと思った。昨日の話の模様では、万事円満に収まりそうであったのに……。細君は一椀なりと召上らなくては、お腹が空いて為方があるまいと、それを侑めに二階へ行った。時雄はわびしい薄暮を苦い顔をして酒を飲んでいた。やがて細君が下りて来た。どうしていたと時雄は聞くと、薄暗い室に洋燈も点けず、書き懸けた手紙を机に置いて打伏していたとの話。手紙? 誰に遣る手紙? 時雄は激した。そんな手紙を書いたって駄目だと宣告しようと思って、足音高く二階に上った。
「先生、後生ですから」
と祈るような声が聞えた。机の上に打伏したままである。「先生、後生ですから、もう、少し待って下さい。