Japanische Klassiker mit Furigana
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れんげず
蓮花図
宮本 百合子
Lesen Sie 蓮花図 (れんげず) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.591 Zeichen · 6 Bildschirme
ポチ、ポチ、――ポチふうむ、ポチでもないのか」
夜、暗く長い桜並木の間を家へ帰る途中、よく犬と道づれになる。彼女は、そのように、道づれになった犬と問答するのであったが、この時ばかりは、ポチが本当にポチであったから、呼ばれたポチも他人とは思えず、つい一晩泊ってしまったのだろう。
そのポチの、鼻の先に我家を眺めながら寝込んだどこやら呑気な性質が愛嬌で、その後も、思い出してはやって来た。
ポチが潜るのも面倒がる程、土用の間に裏の夏草は高くなった。コスモスの葉も見える。あの根方の茂みには蛇も昼寝するであろう。
蓬々とした青草の面に、乾いた、何処やら白いような光線が反射し始めた。七月に吹いていたのとは違った風回りで、風が室を吹きぬけた。風のない午後四時、蝉は鳴きしきっているが、庭の芝、松の木などの間から漂う香が、何か秋らしさで私の脈搏を速める。
朝、私は全く思いがけず、裏の叢の上に蓼の花の咲き出したのを見つけた。
蓼の花は高く咲いている。
秋が更けて空が澄んだら蓼の花は美しさを増すであろう。
心にある除熙の絵が働いて、私は朝靄の裡に開いたばかりの一輪の白蓮の花を思い浮べた。