Japanische Klassiker mit Furigana
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はす
蓮
豊島 与志雄
Lesen Sie 蓮 (はす) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.969 Zeichen · 8 Bildschirme
私は惜し気もなくその桃の枝を切り去り、それから蓮の葉の油虫を鏖殺してやった。蓮の葉は勢を得たように、青々と茂っていった。もう余分の肥料も泥土に吸いつくされたらしく、水がさっぱりと澄んで、青い藻まで生えていて、蓮池特有の匂いも、気のせいばかりでなく実際に感ぜられた。それから霜時になると、枯蓮の趣きも充分に見られた。
そして、冬を越して今年の春である。今日彼岸の入りに、藁の覆いを取去ってみると、鉢の泥は肥えて黒ずみ、水は冷く澄み返り、所々に枯葉の柄が残っている。今に其処から、青々とした巻葉が伸び出し、それが円く大きく拡がって露のしずくを宿す頃には、更に花の蕾が伸び出してきて、夜明の光に音を立ててぱっと開くであろう、などと想像すると私は、蓮のうてなに坐すような清浄な心境を覚ゆる。それにしても、鉢の中に生き残ってるのは、紅蓮であろうか、白蓮であろうか、または普通の食用蓮であろうか、或はその三つ共であろうか。それはこの夏花の開く折の楽しみとしておいて、私はうららかな春日のさす縁側に蹲って、庭の蓮鉢の方へ眼をやりながら、フランスの友人が贈ってくれた、蓮の花弁で巻いた香り高い煙草を、心静かにくゆらすのである。