Japanische Klassiker mit Furigana
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うすこうばい
薄紅梅
泉 鏡花
Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme
「…………」
「私……しばらくお別れに来たんです。」
「……旅行――遠方へ。」
「いいえ。」
糸七は釈然として、胸で解けた。
「ああ、極りましたか、矢野とお約束。」
眉が一文字に、屹と視て、
「あの方、お断りしてしまいました、他所へ嫁に参ります。」
「他所へ。……おきき申すのも変ですが。」
お京は引結んだ口元をやっと解いたように見えて、
「野土青麟の許へです。」
糸七は聞くより思わず戦いた。あの青大将が、横笛を、臭を浴びても頬が腐る、黒い舌に――この帯を、背負揚を、襟を、島田を、緋の張襦袢を、肌を。
「あなたが、あなたが、私を――矢野さんにお媒妁なすった事を聞きました口惜しさに――女は、何をするか私にも分りません――あなたが世の中で一番お嫌いだという青麟に、結納を済ませたんです。」
「…………」
「辻町さん、よく存じております、知っていたんです。お嫌いなさいますのも、お憎しみも分っています。いますけれど、思う方、慕う方が、その女を余所へ媒妁なさると聞いた時の、その女の心は、気が違うよりほかありません。」
と蒼い顔で、また熟と視て、はっと泣きつつ、背けた背を、そのまま、土間へ早や片褄。