Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うすこうばい

薄紅梅

泉 鏡花

Lesen Sie 薄紅梅 (うすこうばい) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 61.133 Zeichen · 122 Bildschirme

Aozora Bunko

「うふふ。」と鳥打帽の頭を竦めて、少し猫背で、水道橋の方へ出向いたあとで。……

四

遅い午餉だったから、もう二時下り。亭主の出たあと、女房は膳の上で温茶を含んで、干ものの残りに皿をかぶせ、余った煮豆に蓋をして、あと片附は晩飯と一所。で、拭布を掛けたなり台所へ突出すと、押入続きに腰窓が低い、上の棚に立掛けた小さな姿見で、顔を映して、襟を、もう一息掻合わせ、ちょっと縮れて癖はあるが、髪結も世辞ばかりでない、似合った丸髷で、さて店へ出た段取だったが……

――遠くの橋を牛車でも通るように、かたんかたんと、三崎座の昼芝居の、つけを打つのが合間に聞え、囃の音がシャラシャラと路地裏の大溝へ響く。……

裏長屋のかみさんが、三河島の菜漬を目笊で買いに出るにはまだ早い。そういえば裁縫の師匠の内の小女が、たったいま一軒隣の芋屋から前垂で盆を包んで、裏へ入ったきり、日和のおもてに人通りがほとんどない。

真向うは空地だし、町中は原のなごりをそのまま、窪地のあちこちには、草生がむらむらと、尾花は見えぬが、猫じゃらしが、小糠虫を、穂でじゃれて、逃水ならぬ日脚の流が暖く淀んでいる。