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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばらふじん

薔薇夫人

江戸川 乱歩

Lesen Sie 薔薇夫人 (ばらふじん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.967 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

来なければよかったと後悔しても、もうおっつかないのだ。

「お前さん、ジーキルとハイドってのを知ってるかね。おれは、本当は心がけのいい人間だが、ハイドになると仕末におえねえ。人殺しなんか平気だぜ。ジーキル博士は薬を呑んだが、おれは薬なんか要らない。ちょっと手品を使えば、いつだってハイドになれる。血に餓えたハイドだ。慈悲もなさけもないハイドだ」

園田は歯ぐきをむき出しにして、ゲラゲラと笑った。自分が今、どんなに凶悪な面相をしているかと思うと、嬉しくてたまらなかった。

「因果なこったが、そうして、お前さんのような美しい女が、真青になってブルブルふるえ、おれを悪魔のように憎んでいるのを見ると、こたえられないんだ」

「じゃ、わたくし、どうすればいいんですの?」

キッと上げた目に涙がふくらんで、今にもこぼれそうだった。その目が憎悪に燃えていた。かよわい女の怒り、これが園田にとっては、この上もない愉しみであった。猫には抵抗する鼠ほどおいしいのである。

「ハイドはね、その人のいちばんいやがることをさせて、見物するのが好物なんだ」

園田は冗談のように、ピストルの筒口を女の胸に向けて、凶悪無残の相好を作りながら、低い力のこもった声を出した。