Japanische Klassiker mit Furigana
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あいがめ
藍瓶
田中 貢太郎
Lesen Sie 藍瓶 (あいがめ) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.676 Zeichen · 10 Bildschirme
瓶は十五六箇もあった。
「小供が入ったらあがれないのね」
「そりゃあがれないだろう」
「重いでしょうか」
「さあ」
順作はうっとりと何か考え込んだが、気が注いて近くの瓶の傍へ往って、狭まっている底のほうに力を入れて押してみた。瓶はなかなか重かったがそれでも斜めに傾きかけた。
「小供を入れたら出られないでしょうか」
「さあ」
そう云って順作は瓶を離れながら四辺に眼をつらつらとやった。それは己のやっていることを見ている者がありはしないかと注意するように。
女は順作の容をじっと見て何も云わなかった。
「往こう」
二人は空地を出て歩いた。四辺はもう暮れていた。
「おい」
順作はぴたり女に擦り寄って囁いた。
「帰って厄介者を伴れて来よう」
女は小声で囁きかえした。
「宜いの」
「宜いさ」
順作と女は家へ帰って来た。父親ははじめに坐っていた処にちょこなんと坐っていた。
「おう、帰ったか、帰ったか」
順作はその父親の詞を受けて云った。
「寄席へ往こうと思って、呼びに来た、往こうじゃないか」
「ほう、俺を寄席へ伴れてってくれるか、そいつはありがたいや、何だかかってるのは」
「落語だよ」
「そうか、姐さんも往くか」