Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうくろうのしま

藤九郎の島

久生 十蘭

Lesen Sie 藤九郎の島 (とうくろうのしま) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.765 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

長くは居着けそうもない島だから、流木を集めて船づくりをし、一日も早く島から出る才覚をする。そのためには、わずかばかりの粮米などより、船ごしらえの道具や帆布、綱手などのほうが大切と、米は捨て、道具だけを積んで漕ぎ寄せたが、意外な人のかたちに鬼のいる島だと怖じ気づき、恐ろしさが先に立って、わけもなく逃げにかかったのだといった。

これで島の人間は二十人になった。

船頭の左太夫が、潮の流れがこうあるからには、かならずこの後も流れ船がくるといったが、まさしく見透した。遠州から、土佐から、大阪から、日向から、出た港はそれぞれにちがうが、おなじ潮の流れにみちびかれてひとつの島に溜まり、ともしい食物を分けあうというのは、ただならぬ因縁事と思うが、こういう大人数に成上り、二十人の男どもがいいほどに餓えを凌ぐのに、島の幸だけでは事足らぬようになった。磯草も大方は食い尽し、貝のあり方も知れている。藤九郎のほうも人を恐れるようになって、焼山の高いところへ移ってしまい、首の骨を折る覚悟で這いのぼっても、たやすく仕止めるわけにはいかなくなった。それでみなが寄りあい、腹を割って相談した結果、島裏の潮の流れが通っているところには、かならず魚が寄っているはずだから、日向組の艀で島裏へ行き、魚をとって食代をふやすことになった。