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Japanische Klassiker mit Furigana

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とうじゅうろうのこい

藤十郎の恋

菊池 寛

Lesen Sie 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.078 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

さあ、幕の開く前に、もう一度稽古に付き合うてたもらぬか。

源次 おお安いことじゃ。何度でも付き合おう。藤十郎どのに、工夫を尋ねるといつも、強い小言じゃ。みんな自分で工夫せいとはあの方の決まり文句じゃ。

四郎五郎 おお一昨年のことじゃ、山下京右衛門が、江戸へ下る暇乞いに藤十郎どのの所へ来て、わがみも其許を万事手本にしたゆえに、芸道もずんと上達しましたといわれると、藤十郎どのはいつものように、ちょっと顔を顰められたかと思うと、「人の真似をする者は、その真似るものよりは必定劣るものじゃ。そなたも、自分の工夫を専一にいたされよ」とにこりともせずに真っ向からじゃ。あの折の京右衛門どののてれまき方を、思い出すと今でも可笑しくなるのじゃ。

源次 藤十郎どのから、お小言を食わぬ前に、もう一工夫してみよう。

四郎五郎 (急に芝居の身振りをなし)これさ、どっこいやらぬ。本妻の悋気と饂飩に胡椒はおさだまり、なんとも存ぜぬ。紫色はおろか、身中が、かば茶色になるとても、君ゆえならば厭わぬ。

源次 (応じて芝居の身振りをしながら)どうなりとさしゃんせ。こちゃおさん様にいうほどに。あれおさん様、おさん様。