Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋
菊池 寛
Lesen Sie 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.078 Zeichen · 25 Bildschirme
藤十郎 (書抜きを読みながら形を付けてみる)かくなり果つるからは、たとい水火の苦しみも……。(工夫付かざるごとく、書抜きを投げ出して考え始める。立って女の手を取るごとき形をしてみる。また書抜きを開いてじっと見詰める)死出三途の道なりとも、御身とならば厭わばこそ……(また絶望したるごとく、書抜きを投げ捨てて頭を抱えて沈思する。気を更えて立ち上り、無言にて動いてみる。工夫ついに付かざるごとく、後へ手を突いて座りながら、低い嘆息の言葉をもらす。とうとう工夫を一時中止したるごとく、床の間に置いてあった脇息を手を延ばして取り、それに右の肱をもたせながら、身を横にする)
(しばらく何事もない。母屋の大広間で打っている鼓の音や、太鼓の音などが、微かに聞えてくる。藤十郎は、静かに目を閉じる。ふと廊下に人の足音が聞える。藤十郎は、ちょっと目を開き、また書抜きを顔に当て、寝た振りをしてしまう。廊下に現れたのは、宗清の女房お梶である。足早に近づくと、何の会釈もなく障子を開ける。藤十郎の姿を見て駭く。)
お梶 あれ、藤様でござりましたか。いかい粗相をいたしました。御免下さりませ。