Japanische Klassiker mit Furigana
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とうじゅうろうのこい
藤十郎の恋
菊池 寛
Lesen Sie 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.078 Zeichen · 25 Bildschirme
(すぐ去ろうとする。ふと、気が付いたるごとく)ほんとに女子供の気の付かぬ。このように冷える所で、そうしてござっては、御風邪など召すとわるい、どれ、私が夜の具をかけて進ぜましょう。(部屋の片隅の押入れから夜具を出そうとする)
藤十郎 (宗清の女房であると知ると、起き直って居ずまいを正しながら)おおこれは、御内儀でありましたか。いかい御造作じゃのう。
お梶 何の造作でござりましょう。さあ横になってお休みなさりませ。
(藤十郎はふと、お梶の顔を見る。色のくっきりと白い細面に、眉の跡が美しい。最初は恍然としていた藤十郎の瞳が、だんだん険しく険しくなってくる。お梶は、藤十郎の不思議な緊張に、少しも気付かぬように、羽二重の夜具を藤十郎の背後からふうわりと着せる)
お梶 さあ、お休みなさりませ。あっちへ行ったら、女どもに水なと運ばせましょうわいな。(何気なく去ろうとする)
藤十郎 (瞳がだんだん光って来る。お梶の去るのを、じっと見ていたが、急に思い付いたように後から呼びかける)お梶どの。お梶どの。ちと待たせられい。
お梶 (ちょっと駭いたが、しかし無邪気に)なんぞ御用があってか。