Japanische Klassiker mit Furigana
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そせい
蘇生
豊島 与志雄
Lesen Sie 蘇生 (そせい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.974 Zeichen · 31 Bildschirme
底知れぬ寂寥の感が全身に上って来た。そしてどれだけ時間がたったか覚えなかった。
――何か、かたっという音が机の上にした。敬助はふと顔を上げた。慶子は火鉢の前に端坐して、眼を閉じ、両手を膝の上に組んでいた。彼はじっとその姿を見つめた。と俄にはっとして両肩を聳かした。首根ががくりとした。それは一種本能的な直覚だった。顧みると、机の上に小さな紫の壜がのっていた。彼はそれを手に取り上げた。壜の底の方に、紫の硝子を通して見らるる重そうな溶液が少し残っていた。
――その時慶子は顔を上げて、彼の眼をじっと見入った。全く表情を没した大理石のような顔だった。そしてその一筋の視線に、彼は心の底までも貫かれたような気がした。彼の全身の働きがぴたりと止った。凡てが深く落ち着き払った。彼はふりもぎるように慶子の視線から顔を外らして、静に紫の壜を電気にかざして、中の溶液をも一度すかし見た。それからそれをぐっと一息に飲み干した。冷熱の分らないただ水銀のように重い感じのするものが、胃の底に流れ込んだのを感じた。慶子は彼の姿を身守って、身動き一つしなかった。
――敬助は彼女の側ににじり寄って、その手を掴んだ。