Japanische Klassiker mit Furigana
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きょこうのはる
虚構の春
Lesen Sie 虚構の春 (きょこうのはる) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.586 Zeichen · 108 Bildschirme
僕は、この秋から支那服着るのだ。白足袋をはきたい。白足袋はいて、おしるこたべていると泣きたくなるよ。ふぐを食べて死んだひとの六十パアセントは自殺なんだよ。君、秘密は守って呉れるね? 藤村先生の戸籍名は河内山そうしゅんというのだ。そのような大へんな秘密を、高橋の呼吸が私の耳朶をくすぐって頗る弱ったほど、それほど近く顔を寄せて、こっそり教えて呉れましたが、高橋君は、もともと文学青年だったのです。六、七年まえのことでございますが、当時、信濃の山々、奥深くにたてこもって、創作三昧、しずかに一日一日を生きて居られた藤村、島崎先生から、百枚ちかくの約束の玉稿、(このときの創作は、文豪老年期を代表する傑作という折紙つきました。)ぜひともいただいて来るよう、まして此のたびは他の雑誌社に奪われる危険もあり、如才なく立ちまわれよ、と編輯長に言われて、ふだんから生真面目の人、しかもそのころは未だ二十代、山の奥、竹の柱の草庵に文豪とたった二人、囲炉裏を挟んで徹宵お話うけたまわれるのだと、期待、緊張、それがために顔もやや青ざめ、同僚たちのにぎやかな声援にも、いちいち口を引きしめては深くうなずき、決意のほどを見せるのです。