Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きょこうのはる

虚構の春

太宰 治

Lesen Sie 虚構の春 (きょこうのはる) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.586 Zeichen · 108 Bildschirme

Aozora Bunko

会社員生活をしているから社会がみえたり、心境が広くなるわけではなく、却って月給日と上役の顔以外にはなんにもみえません。大学でつめこんだ少量の経済学も忘れてしまいました。勉強のできなくなる事、前から余り好きませんが、一層ひどいです。ぼくは東京で文学で生活するか、さもなければ死ぬか。例えば鏡花氏が紅葉山人の書生であったような形式をとるか、ドストエフスキイ式に水と米、ベリンスキイが現われるまで待つか、なにかしたいと思っています。然し、ぼくは汚ならしい野郎ですから、東京に帰ってどんなに堕ちても、かまいませんが、おふくろが、――たまらんです。と、いって、こっちの空気もたまらんです。恐らく、ぼくの願いは自利的な支離滅裂な、ぜいたくなものでしょう。而し、いまのまま一月も同じ商人暮しがつづいたら、ぼくは自殺するか、文学をやめるか、のほかにない気がするのです。或いは続けるかも知れません。続けはしたい――然し、今書いているのは、我慢できない気持です。息がつまりそうです。つまった息を風船に入れて、青空をとびまわれ、あきらめよ、わが心とは思います。然し、ぼくはなんとか生活をかえたい。