Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
「御手伝に出るつもりでしたが、昨日も一昨日も会がありまして……」
日ごとの会に招かるる小野さんはその方面に名を得たる証拠である。しかしどんな方面か、小夜子には想像がつかぬ。ただ己れよりは高過ぎて、とても寄りつけぬ方面だと思う。小夜子は俯向いて、膝に載せた右手の中指に光る金の指輪を見た。――藤尾の指輪とは無論比較にはならぬ。
小野さんは眼を上げて部屋の中を見廻わした。低い天井の白茶けた板の、二た所まで節穴の歴然と見える上、雨漏の染みを侵して、ここかしこと蜘蛛の囲を欺く煤がかたまって黒く釣りを懸けている。左から四本目の桟の中ほどを、杉箸が一本横に貫ぬいて、長い方の端が、思うほど下に曲がっているのは、立ち退いた以前の借主が通す縄に胸を冷やす氷嚢でもぶら下げたものだろう。次の間を立て切る二枚の唐紙は、洋紙に箔を置いて英吉利めいた葵の幾何模様を規則正しく数十個並べている。屋敷らしい縁の黒塗がなおさら卑しい。庭は二た間を貫ぬく椽に沿うて勝手に折れ曲ると云う名のみで、幅は茶献上ほどもない。丈に足らぬ檜が春に用なき、去年の葉を硬く尖らして、瘠せこけて立つ後ろは、腰高塀に隣家の話が手に取るように聞える。