Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
家は小野さんが孤堂先生のために周旋したに相違ない。しかし極めて下卑ている。小野さんは心のうちに厭な住居だと思った。どうせ家を持つならばと思った。袖垣に辛夷を添わせて、松苔を葉蘭の影に畳む上に、切り立ての手拭が春風に揺らつくような所に住んで見たい。――藤尾はあの家を貰うとか聞いた。
「御蔭さまで、好い家が手に入りまして……」と誇る事を知らぬ小夜子は云う。本当に好い家と心得ているなら情けない。ある人に奴鰻を奢ったら、御蔭様で始めて旨い鰻を食べましてと礼を云った。奢った男はそれより以来この人を軽蔑したそうである。
いじらしいのと見縊るのはある場合において一致する。小野さんはたしかに真面目に礼を云った小夜子を見縊った。しかしそのうちに露いじらしいところがあるとは気がつかなかった。紫が祟ったからである。祟があると眼玉が三角になる。
「もっと好い家でないと御気に入るまいと思って、方々尋ねて見たんですが、あいにく恰好なのがなくって……」
と云い懸けると、小夜子は、すぐ、
「いえこれで結構ですわ。父も喜んでおります」と小野さんの言葉を打ち消した。小野さんは吝嗇な事を云うと思った。