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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

唐木の机に唐刻の法帖を乗せて、厚い坐布団の上に、信濃の国に立つ煙、立つ煙と、大きな腹の中から鉢の木を謡っている。謎の女はしだいに近づいてくる。

悲劇マクベスの妖婆は鍋の中に天下の雑物を攫い込んだ。石の影に三十日の毒を人知れず吹く夜の蟇と、燃ゆる腹を黒き背に蔵す蠑の胆と、蛇の眼と蝙蝠の爪と、――鍋はぐらぐらと煮える。妖婆はぐるりぐるりと鍋を廻る。枯れ果てて尖れる爪は、世を咀う幾代の錆に瘠せ尽くしたる鉄の火箸を握る。煮え立った鍋はどろどろの波を泡と共に起す。――読む人は怖ろしいと云う。

それは芝居である。謎の女はそんな気味の悪い事はせぬ。住むは都である。時は二十世紀である。乗り込んで来るのは真昼間である。鍋の底からは愛嬌が湧いて出る。漾うは笑の波だと云う。攪き淆ぜるのは親切の箸と名づける。鍋そのものからが品よく出来上っている。謎の女はそろりそろりと攪き淆ぜる。手つきさえ能掛である。大和尚の怖がらぬのも無理はない。

「いや。だいぶ御暖になりました。さあどうぞ」と布団の方へ大きな掌を出す。女はわざと入口に坐ったまま両手を尋常につかえる。

「その後は……」

「どうぞ御敷き……」