Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

品物の名を聞いて置いて、私が帰りに買って晩に持って行きましょう」

「それでは御気の毒で……」

「何構いません」

父の好意は再び水泡に帰した。小夜子は悄然として帰る。小野さんは、脱いだ帽子を頭へ載せて手早く表へ出る。――同時に逝く春の舞台は廻る。

紫を辛夷の弁に洗う雨重なりて、花はようやく茶に朽ちかかる椽に、干す髪の帯を隠して、動かせば背に陽炎が立つ。黒きを外に、風が嬲り、日が嬲り、つい今しがたは黄な蝶がひらひらと嬲りに来た。知らぬ顔の藤尾は、内側を向いている。くっきりと肉の締った横顔は、後ろからさす日の影に、耳を蔽うて肩に流す鬢の影に、しっとりとして仄である。千筋にぎらついて深き菫を一面に浴せる肩を通り越して、向う側はと覗き込むとき、眩ゆき眼はしんと静まる。夕暮にそれかと思う蓼の花の、白きを人は潜むと云った。髪多く余る光を椽にこぼすこなたの影に、有るか無きかの細りした顔のなかを、濃く引き残したる眉の尾のみがたしかである。眉の下なる切長の黒い眼は何を語るか分らない。藤尾は寄木の小机に肱を持たせて俯向いている。

心臓の扉を黄金の鎚に敲いて、青春の盃に恋の血潮を盛る。