Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
小机に肱を持たしたまま、燃ゆる黒髪を照る日に打たして身動もせぬ。背を椽に、顔を影なる居住は、考え事に明海を忌む、昔からの掟である。
縄なくて十重に括る虜は、捕われたるを誇顔に、麾けば来り、指せば走るを、他意なしとのみ弄びたるに、奇麗な葉を裏返せば毛虫がいる。思う人と併んで姿見に向った時、大丈夫写るは君と我のみと、神懸けて疑わぬを、見れば間違った。男はそのままの男に、寄り添うは見た事もない他人である。驚くうちは楽がある! 女は仕合せなものだ!
冴えぬ白さに青味を含む憂顔を、三五の卓を隔てて電灯の下に眺めた時は、――わが傍ならでは、若き美くしき女に近づくまじきはずの男が、気遣わし気に、また親し気に、この人と半々に洋卓の角を回って向き合っていた時は、――撞木で心臓をすぽりと敲かれたような気がした。拍子に胸の血はことごとく頬に潮す。紅は云う、赫としてここに躍り上がると。
我は猛然として立つ。その儀ならばと云う。振り向いてもならぬ。不審を打ってもならぬ。一字の批評も不見識である。有ども無きがごとくに装え。昂然として水準以下に取り扱え。――気がついた男は面目を失うに違ない。