Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
一つ困る事はその財産である。夫が外国で死んだ四ヵ月後の今日は当然欽吾の所有に帰してしまった。魂胆はここから始まる。
欽吾は一文の財産もいらぬと云う。家も藤尾にやると云う。義理の着物を脱いで便利の赤裸になれるものなら、降って湧いた温泉へ得たり賢こしと飛び込む気にもなる。しかし体裁に着る衣裳はそう無雑作に剥ぎ取れるものではない。降りそうだから傘をやろうと投げ出した時、二本あれば遠慮をせぬが世間であるが、見す見すくれる人が濡れるのを構わずにわがままな手を出すのは人の思わくもある。そこに謎が出来る。くれると云うのは本気で云う嘘で、取らぬ顔つきを見せるのも隣近所への申訳に過ぎない。欽吾の財産を欽吾の方から無理に藤尾に譲るのを、厭々ながら受取った顔つきに、文明の手前を繕わねばならぬ。そこで謎が解ける。くれると云うのを、くれたくない意味と解いて、貰う料簡で貰わないと主張するのが謎の女である。六畳敷の人生観はすこぶる複雑である。
謎の女は問題の解決に苦しんでとうとう六畳敷を出た。貰いたいものを飽くまで貰わないと主張して、しかも一日も早く貰ってしまう方法は微分積分でも容易に発見の出来ぬ方法である。