Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
女の年は二十四である。小野さんは、自分と三つ違である事を疾うから知っている。
美しき女の二十を越えて夫なく、空しく一二三を数えて、二十四の今日まで嫁がぬは不思議である。春院いたずらに更けて、花影欄にたけなわなるを、遅日早く尽きんとする風情と見て、琴を抱いて恨み顔なるは、嫁ぎ後れたる世の常の女の習なるに、麈尾に払う折々の空音に、琵琶らしき響を琴柱に聴いて、本来ならぬ音色を興あり気に楽しむはいよいよ不思議である。仔細は固より分らぬ。この男とこの女の、互に語る言葉の影から、時々に覗き込んで、いらざる臆測に、うやむやなる恋の八卦をひそかに占なうばかりである。
「年を取ると嫉妬が増して来るものでしょうか」と女は改たまって、小野さんに聞いた。
小野さんはまた面喰う。詩人は人間を知らねばならん。女の質問には当然答うべき義務がある。けれども知らぬ事は答えられる訳がない。中年の人の嫉妬を見た事のない男は、いくら詩人でも文士でも致し方がない。小野さんは文字に堪能なる文学者である。
「そうですね。やっぱり人に因るでしょう」
角を立てない代りに挨拶は濁っている。それで済ます女ではない。