Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
「はあだいぶ奇麗な本が陳列している。どうだい欲しいものがあるかい」
「さよう」と小野さんは腰を屈めながら金縁の眼鏡を硝子窓に擦り寄せて余念なく見取れている。
小羊の皮を柔らかに鞣して、木賊色の濃き真中に、水蓮を細く金に描いて、弁の尽くる萼のあたりから、直なる線を底まで通して、ぐるりと表紙の周囲を回らしたのがある。背を平らに截って、深き紅に金髪を一面に這わせたような模様がある。堅き真鍮版に、どっかと布の目を潰して、重たき箔を楯形に置いたのがある。素気なきカーフの背を鈍色に緑に上下に区切って、双方に文字だけを鏤めたのがある。ざら目の紙に、品よく朱の書名を配置した扉も見える。
「みんな欲しそうだね」と宗近君は書物を見ずに、小野さんの眼鏡ばかり見ている。
「みんな新式な装釘だ。どうも」
「表紙だけ奇麗にして、内容の保険をつけた気なのかな」
「あなた方のほうと違って文学書だから」
「文学書だから上部を奇麗にする必要があるのかね。それじゃ文学者だから金縁の眼鏡を掛ける必要が起るんだね」
「どうも、きびしい。しかしある意味で云えば、文学者も多少美術品でしょう」と小野さんはようやく窓を離れた。