Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
一本ずつ吟味して見ると先生の髯は一本ごとにひょろひょろしている。小野さんは鄭寧に帽を脱いで、無言のまま挨拶をする。英吉利刈の新式な頭は、眇然たる「過去」の前に落ちた。
径何十尺の円を描いて、周囲に鉄の格子を嵌めた箱をいくつとなくさげる。運命の玩弄児はわれ先にとこの箱へ這入る。円は廻り出す。この箱にいるものが青空へ近く昇る時、あの箱にいるものは、すべてを吸い尽す大地へそろりそろりと落ちて行く。観覧車を発明したものは皮肉な哲学者である。
英吉利式の頭は、この箱の中でこれから雲へ昇ろうとする。心細い髯に、世を佗び古りた記念のためと、大事に胡麻塩を振り懸けている先生は、あの箱の中でこれから暗い所へ落ちつこうとする。片々が一尺昇れば片々は一尺下がるように運命は出来上っている。
昇るものは、昇りつつある自覚を抱いて、降りつつ夜に行くものの前に鄭寧な頭を惜気もなく下げた。これを神の作れるアイロニーと云う。
「やあ、これは」と先生は機嫌が好い。運命の車で降りるものが、昇るものに出合うと自然に機嫌がよくなる。
「さあ御上り」とたちまち座敷へ取って返す。小野さんは靴の紐を解く。