Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme

Aozora Bunko

小説はこの三挺の使命を順次に述べなければならぬ。

宗近君の車が、小野さんの下宿の前で、車輪の音を留めた時、小野さんはちょうど午飯を済ましたばかりである。膳が出ている。飯櫃も引かれずにある。主人公は机の前へ座を移して、口から吹く濃き煙を眺めながら考えている。今日は藤尾と大森へ行く約束がある。約束だから行かなければならぬ。しかし是非行かねばならぬとなると、何となく気が咎める。不安である。約束さえしなければ、もう少しは太平であったろう。飯ももう一杯ぐらいは食えたかも知れぬ。賽は固より自分で投げた。一六の目は明かに出た。ルビコンは渡らねばならぬ。しかし事もなげに河を横切った該撒は英雄である。通例の人はいざと云う間際になってからまた思い返す。小野さんは思い返すたびに、必ず廃せばよかったと後悔する。乗り掛けた船に片足を入れた時、船頭が出ますよと棹を取り直すと、待ってくれと云いたくなる。誰か陸から来て引っ張ってくれれば好いと思う。乗り掛けたばかりならまだ陸へ戻る機会があるからである。約束も履行せんうちは岸を離れぬ舟と同じく、まだ絶体絶命と云う場合ではない。メレジスの小説にこんな話がある。