Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
親しき友の、わが母を、そうと評するのは、面の内側で評するのか、または外側でのみ云う了見か。己にさえ、己を欺く魔の、どこにか潜んでいるような気持は免かれぬものを、無二の友達とは云え、父方の縁続きとは云え、迂濶には天機を洩らしがたい。宗近の言は継母に対するわが心の底を見んための鎌か。見た上でも元の宗近ならばそれまでであるが、鎌を懸けるほどの男ならば、思う通りを引き出した後で、どう引っ繰り返らぬとも保証は出来ん。宗近の言は真率なる彼の、裏表の見界なく、母の口占を一図にそれと信じたる反響か。平生のかれこれから推して見ると多分そうだろう。よもや、母から頼まれて、曇る胸の、われにさえ恐ろしき淵の底に、詮索の錘を投げ込むような卑劣な振舞はしまい。けれども、正直な者ほど人には使われやすい。卑劣と知って、人の手先にはならんでも、われに対する好意から、見損なった母の意を承けて、御互に面白からぬ結果を、必然の期程以前に、家庭のなかに打ち開ける事がないとも限らん。いずれにしても入らぬ口は発くまい。
二人はしばらく無言である。隣家ではまだ琴を弾いている。
「あの琴は生田流かな」