Japanische Klassiker mit Furigana
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むしのいのち
虫の生命
海若 藍平
Lesen Sie 虫の生命 (むしのいのち) von 海若 藍平 (かいじゃくらんぺい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.854 Zeichen · 6 Bildschirme
勘太郎は寝過ぎたと思って、急いで竈の前に行って火を入れようとしましたが、どうしても昨夜の夢が気になってたまりません。カマドの中には樫の樹も沢山に入れてあるのですから、その中には虫が一匹もいないという事はありません。又樫の樹に限らず他の樹にも虫が住んでいない筈はありませんから、どちらにしても虫共が今日その住居ごと焼き殺される事を知ったら、きっと悲しがるに違いありません。
「ちいさいちいさい虫一つ
たれが憐と思おうか」
という夢の中の歌が、雪に包まれた竈の中から勘太郎の耳に聞こえて来るように思われました。
勘太郎は思い切って、折角築いた竈を打ち破りました。そうして一本一本積んだ樹を取り出して、隅から隅まで調べはじめましたが、不思議な事には、今度積み込んだ樹に限って一本も虫穴の明いたのがありません。
勘太郎は馬鹿馬鹿しい事をしたと思いました。これを焼かなければ御飯を食べる事が出来ないのに、つまらない夢なんぞを本当にして残念なことをしたと思いました。
そのうちにだんだん調べて来て、一番おしまいに一本の丸太が残りました。
それは大きな樫の丸太で、その幹の真中あたりに小さな虫穴が一つやっと見付かりました。