Japanische Klassiker mit Furigana
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かやのけんきゅう
蚊帳の研究
寺田 寅彦
Lesen Sie 蚊帳の研究 (かやのけんきゅう) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.433 Zeichen · 3 Bildschirme
いくら小人島の蚊でもこんな細かい目を潜って侵入する奴はあるまい。木綿の幌蚊帳の方を数えたらこれは四百くらいであったが、これでも細か過ぎると思う。なるほど布の目には粗密がある、長く使っていれば処々に目の大きい処が出来てそこから蚊がはいるかも知れぬが、それにしても今日一般の蚊帳の目は細か過ぎている。
蚊帳の色は一般に萌黄と相場が極っている。何故萌黄に限ったのだろう。見て涼しいという点ならもう少し涼しい色はいくらでもある。透して外の物がよく見えるためならもう少し黒い色がよかろう。蚊帳の色も何とかしたいものである。
蚊帳を釣ると上が垂れて鬱陶しい。これも何とかしたい。真中で釣手をつけて天井へ釣るか、それとも外に工夫はないだろうか。
蚊帳を組立てている繊維の表面はよせ集めるとなかなか広い。この表面にはあらゆる黴菌が附着していようと思う。中には有害な菌も居よう。殊に時候が夏だけに気味が悪い。もし有害菌が沢山附着していれば何か適当な殺菌剤でも塗布した方が安全である。これも衛生学者の研究を願いたい。
雷鳴の時に蚊帳を釣ってもぐり込むのは誰が考えた事か知らぬが、ただの迷信とちがって存外理窟に合っている。