Japanische Klassiker mit Furigana
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じゃせいのいん
蛇性の婬
田中 貢太郎
Lesen Sie 蛇性の婬 (じゃせいのいん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.880 Zeichen · 54 Bildschirme
貧しい孤児の前に夢のような幸福が降って湧いた。許宣は喜びに体がふるえるようであったが、しかし、貧しい己の身を顧みるとこうした富豪の婦人と結婚することは思いもよらなかった。彼はそれを考えていた。
「お厭でしょうか、あなたは」
許宣はもう黙っていられなかった。彼は吃るように云いだした。
「そんなことはありませんが、私は、家も無い、何も無い、姐の家に世話になって、それで、日間は親類の舗へ出ているものですから」
「他に御事情がなければ、他に御事情があればなんですが、そんなことなら私の方でどうにでもいたしますから」
そう云って白娘子は顔をあげて小婢を呼んだ。小婢がもうそこに来ていた。白娘子は何か小声で云いつけた。
小婢はそのまま室を出て往ったが、まもなく小さな包を持って来て白娘子に渡した。白娘子はそれをそのまま許宣の前へ置いた。
「これを費用にしてくださいまし、足りなければありますから、そうおっしゃってくださいまし」
それは五十両の銀貨であった。許宣は手を出さなかった。
「それをいただきましては」
「宜いじゃありませんか、費用ですもの」
白娘子はそれを許宣の手に持っていった。