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Japanische Klassiker mit Furigana

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しじみだに

蜆谷

山本 周五郎

Lesen Sie 蜆谷 (しじみだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.957 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

訊問は終わった。いっときしんとなった吟味所の庭上に、云うだけ云った昂奮のあまりだろう、こんどはお八重のすすり泣く声が、ひっそりとかすかに聞こえていた。……井伊又左衛門はやがて肩をあげ、よくとおる声をひときわ張ってからこう云いだした。「青樹村百姓、弥之助、そのほう旧領主たる治部少輔の布令によってその陣にまいり、関ヶ原において内府さま御軍勢に敵対したる儀ふとどきとは云え、百姓の身として理非を知らず、なおこのたび自訴し出でたる仕方しんみょうにつき構いなし」こう云ってふと調子を変えた、「……また領主一代のたいせつなる合戦と聞き、布令に応じて陣へまいったる仔細はへいぜい鋤鍬を持つ身ながら、領民として恩義を忘れぬ心がけ武士におとらず、あっぱれに思し召さるるによって、蜆谷の川筋一帯、田地二町、山林五町、永代無役にて下しおかれる、有難くお受けいたせ」

ああという泣き声が高くあがった、げん女が泣き伏したのである、又左衛門はそこでお八重の名を呼び、「かよわき身をもって、病父をかかえながら弥之助母をいたわり、辛労よく忍耐したる始末しんみょう」であるとて、田地山林あわせて四町をつかわすと云った。