Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

「おらも金沢へ送って来た戻り路だよ。」

「ゆうべの雨で路はどうだ。」

「雨が強かったせいか、路は悪かあねえ。」

「それじゃあ牛も大助かりだ。」

「助かるといえば、お前のところのお安はどうした。」と、彼は立ちどまって訊いた。

「どうもよくねえ。」と、こちらの男は答えた。「医者さまは風邪を引いたのだというが、熱がひどいので傷寒にでもならにゃあいいがと心配しているのだ。どこへ行ったのだか知らねえが、きのうの夕方、店をしめると直ぐにどっかへ出て行って、びしょ濡れになって雨のなかを夜ふけに帰って来たが、それで風邪を引いたに相違ねえ。おらは商売を休むわけにもいかねえから、嬶に看病させて、こうして出て来ているのだが、なんだか気がかりでならねえ。」

「そりゃ困ったな。あの雨のふるのにどこへ行ったのだろう。」

「それを詮議しても素直に言わねえ。江戸の客を追っかけて江の島へ行ったらしいのだが……。」

「なにしろ大事にしろよ。」

「おお。」

二人は挨拶して別れた。牛の上でそれを聞いていた四郎兵衛は、自分の顔の傷を隠したくなった。お杉も義助も逃げ出したいような心持になった。

「おまえの家に何か病人があるのかね。