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Japanische Klassiker mit Furigana

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くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

連れて行った。そうして、父の罪を救うのも救わないのもお前の料簡次第であると迫られた。その晩は山も崩れそうな大雷雨であった。お冬はそのあくる日も帰ることを許されなかった。夜になって磯貝が酔い倒れた隙をみて、彼女ははだしで宿屋をぬけ出して、暗い山路を半分夢中で駈け降りて帰った。可愛い娘がこれほどに凌辱されたことを知って、六兵衛は燃えるような息をついて磯貝を呪った。かれは仕事を投げ出してしまって、傷ついた野獣のように奥のひと間に唸りながら横になっていた。たましいも肉も無残にしいたげられたお冬は、幽霊のようになって空しく生きていた。

抑えられない憤怒と悔恨とに身をもがいて、六兵衛は自分の店に飼ってある小鳥をみな放してしまった。しかしこの事件の種である時鳥の雛だけは、どういう料簡かそのままに捨てて置いた。九日の午後に磯貝が中禅寺から帰って来て、もうこうなった以上はいっそ自分の妾になれとお冬に再び迫ったが、彼女はどうしても承知しなかった。それをきいて六兵衛のはらわたはいよいよ憤怒に焼けただれた。その翌晩の八時ごろに、磯貝が散歩に出て挽地物屋の前を通ると、六兵衛は籠のなかから時鳥の雛をつかみ出して、すぐに彼のあとを追って行った。